マンション管理の要!清掃費用の相場と適正頻度で資産価値を守る全知識

マンション管理において、居住者の満足度や建物の資産価値に最も直結するのが「清掃」の質です。
エントランスが輝いているマンションは、それだけで管理が行き届いている印象を与えます。

しかし、管理組合の理事やオーナー様の中には、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

「毎月の清掃費用が高い気がするが、適正価格がわからない」
「管理費を削減したいが、清掃の質は落としたくない」
「今の業者の清掃頻度が、本当に建物に合っているのか疑問だ」

マンション管理のコスト削減を検討する際、真っ先に見直しの対象となるのが清掃業務です。
しかし、単に安い業者に切り替えるだけでは、清掃品質の低下を招き、結果としてマンションの資産価値を下げてしまうリスクがあります。

本記事では、マンション管理と清掃のプロフェッショナルの視点から、2025年最新版の「清掃費用の相場」と「最適な頻度」について徹底解説します。
小規模から大規模マンションまでの規模別シミュレーションや、業者選びのポイントまで、管理組合様が知るべき全知識を網羅しました。

これを読めば、コストを抑えつつ、住民が快適に暮らせる「質の高いマンション管理」を実現するための具体的な道筋が見えてくるはずです。

マンション清掃の費用は「適正」ですか?管理組合が知るべきコストの仕組み

マンション管理費の内訳を見たとき、決して無視できない割合を占めているのが清掃費です。
まずは、清掃費用がどのように決まるのか、その構造と見直しの重要性について理解を深めましょう。

清掃費は管理費の大部分を占める!見直しのインパクトとは

マンション管理における支出の中で、管理会社への委託費や設備点検費と並んで大きなウェイトを占めるのが清掃業務費です。
一般的に、管理費全体の20%〜30%程度が清掃関連の費用で構成されているケースも少なくありません。

これは逆に言えば、清掃費用の適正化ができれば、管理組合の財政に与えるインパクトが非常に大きいことを意味します。
例えば、月額3万円のコストダウンに成功したとしましょう。
年間で36万円、10年間であれば360万円もの修繕積立金や剰余金を生み出すことにつながります。

しかし、ここで重要なのは「ただ削れば良いわけではない」という点です。
マンション管理の質は、「清掃の質」と言い換えても過言ではありません。
コストと品質のバランス(コストパフォーマンス)を最大化することこそが、真の見直しと言えるのです。

「安ければ良い」は危険!安価な業者が抱える構造的リスク(人手不足・教育不足)

相場よりも極端に安い見積もりを出してくる業者には、必ず「安さの理由」があります。
特に昨今のビルメンテナンス業界は、深刻な人手不足に直面しています。

極端に安価な業者が抱えるリスクとして、以下のような点が挙げられます。

▼教育不足のスタッフが派遣される
コストを抑えるために研修時間を削っているため、適切な洗剤の使い分けができなかったり、挨拶などのマナーが欠如していたりすることがあります。

▼スタッフが定着せず、コロコロ変わる
賃金が低いために離職率が高く、そのたびに作業手順の引き継ぎ漏れが発生します。
「いつもの場所が掃除されていない」というクレームの原因になりがちです。

▼監督者の巡回がない
現場を管理するマネージャーの巡回頻度を下げてコストカットしているため、清掃品質の低下に気づけず、放置されてしまいます。

マンション管理において「安心・安全・快適」を提供するためには、適正な人件費と教育コストが不可欠であることを忘れてはいけません。

清掃の種類(日常・定期・特別)とそれぞれの費用決定要因

マンション清掃と一口に言っても、その内容は大きく3つに分類されます。
それぞれの役割と、費用が変動する要因を整理しました。

種類 作業内容の例 費用が決まる主な要因
日常清掃 掃き掃除、拭き掃除、ゴミ出し、電球交換、植栽の水やりなど ・週の作業回数(頻度)
・1回あたりの作業時間
・派遣されるスタッフのスキル
定期清掃 エントランスや廊下の機械洗浄(ポリッシャー)、ワックス掛けなど ・清掃面積(平米数)
・床材の種類
・年間の実施回数(年2回〜4回等)
特別清掃 照明器具の高所清掃、外壁洗浄、高圧洗浄、排水管洗浄など ・特殊機材の使用有無
・高所作業車の必要性
・作業員の専門資格


このように、日常清掃は「人件費(時間)」、定期・特別清掃は「技術料+機材費」という側面が強くなります。
それぞれの特性を理解した上で、仕様書を見直すことが重要です。

【規模別】マンション日常清掃の費用相場と推奨頻度

マンションの規模によって、求められる清掃の頻度や体制は異なります。
ここでは戸数規模別に、適正な日常清掃の費用感とスケジュールを見ていきましょう。

小規模マンション(〜20戸)の相場:週1〜2回巡回のコスト感

20戸未満の小規模マンションの場合、管理員や清掃員が常駐する必要性は低くなります。
多くの場合は「巡回管理」という形式が採用されます。

▼推奨頻度:週1回〜2回
▼作業時間:1回あたり1〜2時間程度
▼月額費用相場:1.5万円〜4万円程度

小規模マンションでは、ゴミ出しの曜日(燃えるゴミの日など)に合わせて清掃員を派遣するのが最も効率的です。
週1回の掃き掃除と拭き掃除だけでも、建物の美観は十分に維持できます。
コストを抑えつつ、最低限の清潔さを保つための賢い選択と言えるでしょう。

中規模マンション(20〜50戸)の相場:週3〜4回に必要な予算

ファミリータイプの中規模マンションになると、人の出入りが多くなり、エントランスやゴミ置き場の汚れが目立ち始めます。
この規模では、週1回の清掃では追いつかないケースが増えてきます。

▼推奨頻度:週3回〜4回(または週5回の午前中のみ)
▼作業時間:1回あたり2〜3時間程度
▼月額費用相場:5万円〜12万円程度

マンション管理の質を維持するためには、「ゴミが散乱している時間を短くする」ことがポイントです。
週3回以上の頻度があれば、ゴミ出しのサポートやチラシの廃棄などもスムーズに行え、居住者の快適性が格段に向上します。

大規模マンション(50戸〜)の相場:常駐管理員と清掃員の兼務パターン

50戸を超える大規模マンションの場合、建物の面積が広いため、清掃業務のボリュームも大きくなります。
ここでは「管理員」と「清掃員」を分けるか、兼務させるかで費用が大きく変わります。

▼推奨体制:週5日〜6日(日勤管理)
▼月額費用相場:15万円〜35万円以上(仕様により大きく変動)

コストを抑える手法として有効なのが、管理員が清掃業務を兼務する「兼務方式」です。
午前中は受付業務とゴミ出しを行い、午後は共用部の巡回清掃を行うといったスケジュールを組むことで、人件費を効率化できます。
ただし、100戸を超えるようなタワーマンション等の場合は、専任の清掃スタッフ(クリーンスタッフ)を複数名配置するのが一般的です。

シルバー人材センター vs 専門業者 vs 管理会社!コストと品質の比較

日常清掃をどこに依頼するかで、費用と品質はトレードオフの関係になります。
それぞれの特徴を比較してみましょう。

依頼先 費用感 清掃品質 メリット・デメリット
シルバー人材センター 安い 個人差が大きい コストは最も抑えられるが、高齢のため高所作業や重労働が難しい。プロの清掃技術は期待しにくい。
清掃専門業者 普通〜高い 高い 技術力は高いが、管理会社との連携(報告業務など)が希薄になりがち。
総合管理会社 適正〜やや高い 安定して高い 清掃だけでなく設備の不具合発見なども含めた「マンション管理」全体を任せられる。責任の所在が明確。


「とにかく安くしたい」ならシルバー人材センターですが、「マンション管理の質を担保したい」のであれば、教育体制の整った管理会社や専門業者への依頼が安心です。

【作業別】定期清掃・特別清掃の単価相場リスト

日常清掃では落としきれない汚れを除去し、床材などを保護するために行うのが定期清掃や特別清掃です。
ここでは具体的な単価の目安をご紹介します。

床洗浄(ポリッシャー)・ワックス掛けの平米単価

エントランスホールや廊下の長尺シート、Pタイルなどに行う機械洗浄とワックス塗布です。
床の光沢を取り戻し、傷から守る効果があります。

▼相場目安:1平米あたり 200円〜500円
※最低出張料金として、1回あたり25,000円〜35,000円程度を設定している業者が多いです。

面積が狭い場合は単価ではなく「一式料金」となることが一般的です。
また、剥離洗浄(古いワックスを完全に剥がす作業)を行う場合は、通常の2倍〜3倍の費用がかかります。

カーペット洗浄・ガラス清掃の費用目安

内廊下タイプのマンションで見られるカーペットや、エントランスの大型ガラスの清掃です。

▼カーペット洗浄:1平米あたり 250円〜600円
スチーム洗浄やドライクリーニングなど、工法によって価格が変わります。

▼ガラス清掃:1平米あたり 200円〜500円(両面)
高所作業車やゴンドラ、ロープ作業が必要な場合は、別途「仮設費」や「高所作業費」が加算されます。

高圧洗浄(外壁・床)のスポット依頼費用

外階段や駐車場のアスファルト、タイルの目地に入り込んだ苔や黒ずみを除去するには高圧洗浄が効果的です。

▼相場目安:1日作業(2名体制)で 5万円〜10万円程度

平米単価で計算する場合もありますが、汚れ具合によって作業時間が大幅に変わるため、人工(にんく:作業員1人1日あたりの費用)で計算されることが多い項目です。

【法的義務】貯水槽清掃・排水管洗浄の相場と実施サイクル

マンション管理において、法律で義務付けられている、あるいは実施が強く推奨される清掃です。

▼貯水槽清掃(受水槽・高置水槽)
・頻度:年1回(水道法等の規定による)
・費用:3万円〜10万円程度(タンクの容量による)
水質検査費用が含まれているかを必ず確認しましょう。

▼排水管洗浄(高圧洗浄)
・頻度:1年〜3年に1回程度
・費用:1戸あたり 3,000円〜6,000円程度
全戸実施が基本です。詰まりや逆流事故を防ぐための重要なメンテナンスであり、マンション管理組合として最優先で予算化すべき項目です。

資産価値を落とさない「最適な清掃頻度」の決め方

費用を抑えたいからといって、闇雲に回数を減らせば良いわけではありません。
マンションの立地や特性に合わせた「最適な頻度」を見つけることが、賢いマンション管理の秘訣です。

ゴミ出し日(週2回)を基準にしたシフトの組み方

最も効率的な日常清掃のスケジュールは、自治体のゴミ収集日に合わせることです。
例えば、燃えるゴミの日が「火・金」であれば、清掃も「火・金」の週2回をベースにします。

清掃スタッフがゴミ収集後にゴミ置き場を水洗いし、その後館内を清掃する流れを作れば、衛生状態を最も良く保てます。
予算に余裕があれば、これに「資源ゴミの日」を加えた週3回体制にすると、さらに管理レベルが向上します。

建物の立地条件で変わる頻度(幹線道路沿い、植栽が多い場合など)

マンションの周辺環境によっても、汚れ方は全く違います。

▼幹線道路沿い・線路沿い
排気ガスや鉄粉で外壁や手すりが黒ずみやすいため、定期的な拭き上げや高圧洗浄の頻度を上げる必要があります。

▼植栽が多い・公園が隣接している
落ち葉の季節(秋〜冬)は、日常清掃の掃き掃除が大変重要になります。
落ち葉を放置すると排水溝が詰まり、漏水の原因にもなるため、この時期だけ清掃時間を延長するなどの柔軟な対応も検討すべきです。

素材別メンテナンス頻度:磁器タイル、塩ビシート、石材の違い

床材の種類によっても適切なメンテナンス頻度は異なります。

・磁器タイル(ザラザラした床):ワックス不要。ポリッシャー洗浄を年2〜3回。
・塩ビシート(長尺シート):ワックス可能なものと不要なものがある。汚れを抱き込みやすいため、年2回〜4回の機械洗浄が理想。
・天然石(大理石・御影石):酸性洗剤厳禁。水拭きと乾拭きが基本。光沢が落ちたら専門的な研磨が必要。

素材に合わない清掃(例:滑り止めタイルへのワックス塗布など)は、逆に汚れを目立たせたり、転倒事故を招いたりするため注意が必要です。

過剰な清掃は無駄!「汚れる前にやる」予防清掃の考え方

費用対効果を高める最大のポイントは「汚れる前に防ぐ」ことです。
例えば、エントランスに設置する泥落としマット(レンタルマット)を大型で高性能なものにするだけで、館内に持ち込まれる砂埃を大幅にカットできます。

これにより、廊下の掃き掃除の時間を短縮できたり、定期清掃(ワックス掛け)の回数を年4回から年2回に減らせたりする可能性があります。
ハード面の工夫でソフト面(人件費)をカバーするのも、高度なマンション管理テクニックの一つです。

失敗しない清掃業者の選び方と見積もりのチェックポイント

いざ見積もりを取ってみても、金額だけで判断するのは危険です。
信頼できる業者かどうかを見極めるためのチェックポイントを解説します。

見積書の内訳を見る!「諸経費」「交通費」のカラクリ

「清掃一式」という大雑把な見積もりには注意が必要です。
適正な見積書には、以下のような詳細が記載されています。

・作業時間数と人工単価
・使用する洗剤やワックスの材料費
・機械の損料(償却費)
・交通費、諸経費

特に「諸経費」が高すぎる(20%以上など)場合は、その根拠を確認しましょう。
現場管理費や通信費などが含まれますが、ここがブラックボックスになりがちです。

自社施工か丸投げか?中間マージンをカットする秘訣

依頼した会社が自社でスタッフを雇用しているのか、それとも下請け業者に丸投げしているのかを確認してください。
下請け構造になっている場合、中間マージンが発生し、費用が割高になるか、現場スタッフの手取りが減って質が下がるかのどちらかです。

「自社施工」を謳っている会社、もしくは協力会社との連携が密で、管理体制がしっかりしている会社を選ぶことが、コストパフォーマンスを高める近道です。

報告・連絡・相談ができるか?「清掃+α」の付加価値

優秀な清掃スタッフは、単に掃除をするだけでなく、マンションの「目」となってくれます。

「駐輪場に見慣れない自転車が放置されています」
「共用灯が切れています」
「不審なチラシが撒かれています」

このような報告を管理組合や管理会社にタイムリーに上げてくれる業者は、金額以上の価値があります。
選定時には、どのような報告体制(業務日報の有無や写真報告など)をとっているかを確認しましょう。

損害賠償保険の加入有無は必須チェック項目

清掃作業中には、予期せぬ事故が起こる可能性があります。
「ポリッシャーのコードで居住者の車を傷つけてしまった」「水を撒いて居住者を転倒させてしまった」といったケースです。

このような万が一の事態に備え、業者が適切な「賠償責任保険」に加入しているかは必須のチェック項目です。
口頭確認だけでなく、保険証券の写しを提出してもらうと安心です。

まとめ:コスト削減と品質向上は両立できる

マンション管理における清掃費用は、単なる「出費」ではなく、資産価値を守るための「投資」です。
しかし、それは無駄なお金を払い続けることではありません。

現状の仕様書を見直し、無駄を削ぎ落とす

まずは現在の契約内容(仕様書)を確認してみてください。
「誰も通らない場所を毎日掃除していないか」「汚れにくい素材なのに過剰なワックス掛けをしていないか」など、見直すべきポイントは必ず見つかります。

頻度や内容を適正化することで、コストを下げながら、本当に必要な場所にリソースを集中させることができます。
これが、質を落とさずにコストを削減する唯一の方法です。

信頼できる管理会社・清掃会社への無料見積もりのすすめ

自分たちだけで適正価格を判断するのは難しいものです。
一度、現在の仕様書をベースに、他の管理会社や清掃業者から相見積もりを取ってみることをお勧めします。

新しい視点からの提案により、今まで気づかなかった無駄や、より良い管理方法が見つかるかもしれません。
マンションの未来を守るために、まずは「清掃の見直し」から第一歩を踏み出してみませんか。

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